『田園の詩』NO.60 「柚子味噌」 (1996.12.24)

 新しいカレンダーをもらい歩く(沢山いただくのですが、使いやすいのはこちらから
積極的にもらいに行く)頃となりました。田舎にUターンして約10年になりますが、
今年も例年と同じ様なサイクルで無事に過ごすことができました。

 私の好きな言葉に「繰り返しをおそれ 繰り返しをよろこび 今日を生きる」という
のがあります。マンネリに陥ることなく日々心新たに生きることは大切なことですが、
一年を通して同じ繰り返しのできたことに素直に感謝したいと思います。

 「自分で育てた野菜を食べる…そんな贅沢をしたい」ということで始めた畑仕事も、
初めの頃は『野菜暦』なるものを作り、タネを蒔く時期などを記録し、又それを見な
がら試行錯誤の連続でした。

 現在では年間のサイクルもすっかり頭の中に入り、農薬を使わなくても育つタネの
蒔き時も勘でなんとか分かるようになりました。とはいっても、自然が相手のこと故、
たまに全滅することもあります。(そんな時は、さらっと諦めることも身に付きました。)

 それが、今年は天候にも恵まれ全ての野菜が順調に育ちました。そして、この時季、
待望の≪柚子味噌≫もたっぷり作ることができたので、尚更気分を良くしているところ
です。


     
     農薬で消毒をしないので(つまりは、ほったらかしのまま)、表面に一部キズ
     があります。逆な言い方をすれば、少しキズがあるのは無農薬の証拠といえます。
     いろんな野菜や果物にこの見方は大体当てはまります。(08.12.2写)


この≪柚子味噌≫は女房の特製で、黄色く色付いた柚子の皮の部分だけを細かく切り
刻み、カツオと一緒に味噌の中に入れ、とろ火で混ぜ合わせて作ります。

 以前は、ミカンの皮で作っていたそうですが、柚子を使うことで、香り・味ともに
絶品になりました。

 柚子は当地では各家に必ずといって良いほど植えられているので、女房に作り方を
伝授してもらい、自分で作る人も多くなりました。我が家と同じく沢山作っては友達に
配り回っているようです。

 時折、見せてもらいますが、もう我が家のとは見栄えも味も少しアレンジされていて、
その人の自家製の≪柚子味噌≫になっているのが、何とも言えず面白いものです。
                            (住職・筆工)

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